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雪かき

朝、カーテンを開けて歓声をあげる子どもたち。
それとは裏腹に気を重く外を眺める僕。
ついに雪かきの季節がやってきた。

雪かきは重労働。
とはいえ、やっぱり昨日までアスファルトのグレー一面だった地面が
どこもかしこも真っ白になっている光景は、心ときめく。
雪国に生まれてよかったな、と思う一瞬。

雪かきをしていると、ふと人生について考えたりする。
雪かきは結構、奥が深い。
降り積もった雪で色彩があやふやになり、音もくぐもった世界。
無心に雪かきをするうち、思索はめぐる。

北海道でよく言われていることに(僕の周りだけかもしれないけれど)
“おじいちゃんの雪かきは美しい”
ということがある。
本当におじいちゃんの雪かきは美しい。

若い頃は腕力でスピードでガシガシと雪かきをする。
多くの雪を一度に運んで、ガバッと投げる。
ズシズシとゆきを踏みしめて歩く。
片やおじいちゃんはしずしずと雪を運ぶ。
足音はほとんどしない。
若い人の方がスピードがあるが、ある量以上あると
不思議とおじいちゃの方が早かったりもする。
登山に似ているのかもしれない。

美しい雪かきをするおじいちゃんの道具はたいてい「雪はね」と呼ばれるもの。
柄の長いスコップの形状。柄の部分が木で、刃の部分が赤いプラスチック。
これと小柄なおじいちゃんの組合わせはもう最強。
ちなみにこの道具、無理をするとすぐに壊れちゃう。
若い人がガシガシ使うとすぐに刃の部分が割れちゃう。
でも、おじいちゃんの雪はねの扱いは、その所作も美しい。
きっと剣の達人の動きはこんな感じなんだろうな、と思うくらい無駄が無い。
そう、無駄が無い。力の使い方に。
まさに柔よく剛を制す、の世界。

美しいなぁと思いつつ、大量の雪を目の前にすると
ついガシガシと雪かきしてしまう僕。
まだまだ修行が足りない。
雪かきは、デザインにも人生にも似ている。

こらからの北海道は
真っ白い雪と、美しい雪かきをするおじいちゃんで満たされる
美しい季節。

2014.12.7
Diary


焼きいも屋 その2

僕は昔、焼きいも屋だった。
その1は、こちら

テレビ出演のため、いもを焼けない設備で
いもを焼く…というミッションを課せられた僕。
しかし、試行錯誤をしても焼けないものは焼けない。
じゃあどうしよう…。
なんとかして、焼きいもを用意するしかない。
まっすぐ進んでダメなら、回り道だ。
人生には代替案はいっぱいある。

テレビ撮影の日、早起きしていもを用意する。
当時はまだ実家暮らしだったので母の力を借りて。
焼きいもカー搭載のコンロではなく
家のオーブンで焼きいもを作ろうとする僕に
母は、鍋でふかす方法もあると教えてくれる。
母は偉大だ。ありがとう母さん。
朝から家中、焼きいものあまい香りが漂う。
そうして出来上がった30本の焼きいもたち!
(実際は半分近くは焼いていない、ふかしいもだけれど)

初日に買った大きな発泡スチロールの容器が
アルミホイルで包まれた銀色のいもで埋め尽くされている。
その本来であれば当たり前のその光景は眩しくて。
でも、最終日ではなく、もっと早くにその光景を見たかったよ。

30本のいもを得た僕は、水を得た魚のように自信にみなぎり
社長さんが用意してくれたお客さんにいもを売りまくった。
焼いたいもも、焼いていないいもも。
テレビ局のディレクターさんとカメラマンさんと一緒に。
こうして、僕の10日間だけの焼きいも屋生活に幕が降りた。
この日の売り上げと、社長さんがもってくれた分で
最終的に赤字は2万円になった!やった!
でもアルバイトだ。
アルバイト10日間で2万円の赤字だ。

後日、テレビ放送を観た。
録音した自分の声を聞く以上に
必要以上にぺこぺこと頭を下げている
自分の映像に違和感を覚えた。

終わらせると、はじまる。
焼きいも屋最終日、テレビ撮影終盤
発泡スチロールを抱えて歩く僕を呼ぶ声。
振り向くと以前、短期のアルバイトでお世話になったHさんだった。
「ナカちゃん、なにやってんの?」
焼きいも屋です。でも今日で最終日です。と説明すると
「それなら来週のイベント手伝ってくれない?」
そうしてそれからの数年間、僕はイベントスタッフとして
毎日毎日違う現場で働くことになる。

プロレスの会場でスタンハンセンに突き飛ばされたり…
天童よしみさんと握手をしたり…
たまねぎ畑の真ん中で飛行機の数を数えたり…
すすきのでカラオケ屋のビラを配ったり…
有田焼きの陶器を売ったり…
PASEOで抽選会場を運営したり…
様々な経験をしたイベントスタッフ時代については
またいつかの機会に。

2014.12.7
Diary