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感情がかたまるまで待つ


先日、“SHIMAUMA DESIGN 映画の日”として
やまだなおとくんとふたりで
「万引き家族」を観てきました。

一般的な勤務時間中に観に行くわけですが
感性をみがくのもぼくらの大切な仕事。
というわけで、平日の空いている快適な映画館に行ってきました。

「万引き家族」…すごい映画でした。。。
まだこれ以上なにも言えません。。。
ネタバレが…というのではなくて
自分の感情がまとまっていないのです。

観ている最中、観終わったあとも
いろいろな感情が立ち上がってきて
言葉にできないのです。まだ。

観る方によって感じ方は大きく異なるんじゃないかな
って、それはどんな作品でもそうですが
この作品はとくにそう感じます。

あまりにも感情がまとまらなくって…
観終わった時間はちょうど夕飯時にいい時間だったのですが
ふたりでご飯を食べたりお酒を飲んで
いま観た映画を語らう…には
ふたりとも感情が未消化すぎて…。
「今日はこのまま帰ろうか…」
「はい…」
と、なったのでした。

こういう大きな衝撃を受けたとき
無理にその場で感情を固定したり決めつけたりせず
時とともにゆっくりと…
感情がかたまるのを待つのを大切にしています。
楽しい!嬉しい!という劇的な感情もいいけれど
こうした、一言では言い表しにくい深い感情も
たくさん留めておきたいな、と思うのです。

あ!観終わったあとにひとつだけ猛烈に感じたことがありました。
それは、大切な人に会いたい!ということ。
家族の顔が浮かんできたのですが
そう思える存在があることに、しあわせだな…と思いました。

「万引き家族」
とても心に残る映画になると思います。
劇場で観れてよかった。

2018.7.11
Diary


物語が必要だ!


本が好きだ。

だってページを開くだけで、全く違う人生が体験できる。
行ったことなのない場所に行ける。
物理的に行けない世界に、自分じゃない人間になれる。

本って冒険だ。
本って宇宙だ。
そう思う。

だけど、SHIMAUMA DESIGNとして独立してから
本を読む量がめっきりと減ってしまった。
いろいろな要因があるけれど
一番直接的なのは、通勤しなくなったから。
地下鉄での移動時間が僕の一番大きな読書時間だったから。
読まないようになると、読めなくなってきて
本を開くのが少しおっくうなときもあったりした。

だけど、もっと物語が必要だ!
物語を摂取したい!
昨年末から、僕の心が騒いでいた。

事務所近くに素敵なカフェができてから
そこで川口俊和さん著「コーヒーが冷めないうちに」に出会ってから
だんだんと僕の読書熱が復活してきた。
「コーヒーが冷めないうちに」は
ある条件のもと、過去に戻れるという喫茶店が舞台の物語。
これを実際にコーヒーを飲みながら読めたのは
とても素敵な経験だった。

おだやかな時が流れる少し暗めの店内で
この本を読みながら
さめざめと泣いて、泣いて…
あぁやっぱり読書はいいな、物語はいいなって。
それからすこしづつ読めるようになってきて。
そして今月、久し振りに少しまとめて読めた。

素敵な本たちに出会えたので
たまに読んだ感想でもシェアしたいな、というのが今回のブログ。

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「出会い系サイトで
 70人と実際に会って
 その人に合いそうな
 本をすすめまくった
 1年間のこと」
   花田菜々子さん 著
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もうタイトルからしておもしろそう!と書店で中身を少し読ませてもらって、即購入を決意。装丁がすてきなのも嬉しかった。やっぱり職業柄でしょうか。本のジャケ買いをけっこうするのと、好きな本の装丁が、飾っていても素敵というのが嬉しいのです。
 この本ね、もういろいろな方におすすめしたいんだけど…おもしろい?感動する?勇気をもらう?それらがすべて入ってて、あぁ人間っていいな…って、思うんです。あらすじや内容はどこかでわかるでしょうし、タイトルのままなのですが…。あ、出会い系サイトと聞くとエッチなものしか考えられなかったのですが、そういう話ではないです。そこの部分も話の裏側には流れてるけれど。
 いまの環境を変えたい、疑問を持っている、なにかに熱中したい、自分の好きなことってなんだろ?…そんな想いを持っている方には、ぜひ読んでいただきたいな。僕は笑って泣いて、勇気をもらって、そして創作意欲をかき立てられた。ありがとう。
 あ、本の中でタイトル通り、いろいろな本が紹介されるのですが、その紹介されてる本も、次にこれ読みたいな!っていうのが読んでる人ごとに出てくると思うんですよね。この1冊の出会いから繋がる読書になる、というのもとても嬉しかった。
 僕の本の基準で「この本に出会えてよかった」というのがあるんだけれど、まさにこの本がそうでした。「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」、あなたに出会えてよかった。ありがとう。愛してます。でも、タイトル、長過ぎるよ!

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「屍人荘の殺人」
   今村昌弘さん 著
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屍人荘…しじんそう、と読みます。大学のサークル活動で紫湛荘(しじんそう)というペンションに行き…という作品ですが、タイトルに殺人と書いてあるからには、どなたか亡くなるのだろう…と思い読み進めます。でも、ややしばらく、どなたにも悲劇はおとずれず(本来はその方がいいのだけれど)なにか起こりそうな気配は濃厚なのだけれど…があるページから一転、世界が変わるような衝撃。すごい…まさか…、そう来るなんて。どなたかの書評で、一言でも言うとネタバレになると書かれてたけど、本当に何も言えない。実際はそれがわかっていても充分におもしろいとは思いますが、ぜひ、予備知識なしでこの衝撃を味わっていただきたいです。衝撃がすごくて、一気読みしてしまいました。

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「かがみの孤城」
   辻村深月さん 著
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不登校の中学生たちが、不思議なお城で出会って…というファンタジックなミステリー。こうして大人になると学校って行っても行かなくてもどうでもよいよなぁって普通に思えるけれど、中学生の頃は学校が世界のすべてのような気がしてて、猛烈に息苦しかったことを思いだした。転校も経験したし、今ではよい経験と思えることも、当時はつらかったなぁという記憶がある。そんな10代前半の記憶がヒリヒリとよみがえる…そんなはじまり。
 物語の主人公たちは、それぞれの想いをかかえて不登校という状況。そこにあらわれる不思議なお城。お城での生活と現実との生活、仲間達との信頼と…あれ?途中から違和感が…あ!こういうことでしょ!と読んでるこちらに、わかったようなフリさせて、あぁ、あぁ、そうだったのね、そういうことなのね、が連続。そうしてどんどん話に引き込まれていく物語。まとまりかたがエクセレント!見事!すてき!ブラボー!

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「百科の魔法」
   村山早紀さん 著
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この並びでお気づきかの方もいると思います。この「百科の魔法」、「屍人荘の殺人」、「かがみの孤城」はいずれも2018年の本屋大賞のノミネート作。
 僕、本屋大賞には絶大な信頼があって、これまでに読んでおもしかったなぁというものが、あとから知ったら本屋大賞だった、というものがとても多くて。今回物語を読みまくりたい!と思ってた矢先に本屋大賞のノミネート作品が発表されたので、もうこれは利用させていただくしかないな、と。そして今年はノミネート10作品を全て読んでみよう!と、そう決めて今月3冊を読んだのでした。
 「屍人荘の殺人」、「かがみの孤城」とミステリーが続いたので、平和なあたたかい物語が読みたくて選んだのがこちらの「百科の魔法」。歴史ある素敵な…でも時代の波の中で閉店も噂されてしまう百貨店が舞台。
 僕の小さい頃は百貨店…僕はデパートと呼んでたけれど、デパートに行くのは一つのイベントでした。車のなかった我が家。母とバスに乗ってデパートへ。ちょっとだけ敷居(なんて言葉知らなかったけれど)の高さを感じつつ、ちょっとだけ特別なおでかけ。そんな懐かしい記憶を思い起こさせてくれる作品。
 いろいろな売場の人たちが織りなしていく小さな物語がやさしく積み重なっていって…。ファンタッジクなんだけれど、現実世界もこういう魔法のような素敵なことって起きるよねという、きらきらが、人のあたたかさがつまった物語。百貨店のそれぞれの持ち場、それぞれの担当の仕事への愛もあふれていて、あぁ人間っていいなぁ、仕事っていいなぁ、とパワーをいただいた作品です。
 同じ世界を舞台にした「桜風堂ものがたり」という本もあるとのことで(こちらは2017年本屋大賞ノミネート作!)、2018年の10作品を読み終えたら、そちらもぜひ読んでみようと思うのでした。

あぁ、まだ紹介したい本があるのだけれど…、長くなってしまったので、続きはまた後日に。

冒頭の写真は今月読んだ中で、とくに響いた一冊。
花田菜々子さん著「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」逆光の写真ですが、この向こうに輝く世界があるんだなぁってことを表現したくって。

2018.5.31
Diary